インダストリーから考えるIFRS適用の疑問

 規模の大きさや、連単など、様々な切り口で強制適用の是非が問われているIFRSですが、最近気になった切り口があったので、本Blogにてまとめてみます。

  • 資金調達

 IFRSを適用した場合に、企業が享受できるメリットの中のひとつに海外からの資金調達があります。(凄いざっくりと言うと)すなわち、今まではJGAAPを適用していたために、理解が難しかった財務諸表の価値が外国人投資家にもわかるようになるわけです。そこで、投資に値する企業は株式を購入してもらうことが出来ると。

 そういうわけで、株式市場での資金調達というのは、IFRS適用のメリットなんですが、そのためには多くのコストをかけないといけません。たとえば、こんな感じ。


経理を中心としたProjectチームの組成
・他の専門業者への業務委託(EX. 会計事務所、会計システムのベンダー)
・社内の専門人材育成
経理以外の他部署との調整
・子会社を含めた他のグループ企業との連携 …etc

 企業の規模にもよりますが、まず間違いなくIFRS適用にかかるコストは経営の意思決定に大きな影響を及ぼしますし、強制適用ではない現行の基準ではこれらのコストを上回る成果を出すという予想、または期待がなければ、おそらく早期適用する必要もないかと思います。

 株式市場における資金調達の容易化はIFRSの適用のメリットなわけです。

 ここまでが大前提の話だったわけで、そろそろ本題へ。最初に触れましたが、「どこまでを強制適用の範囲に含めるのか」というのは議論されている論点の一つです。俗に、連単分離ですね。それとは別に、最近いろんな業界を調べる機会があったので、調べてみたんですが、こういう規制があるんですね。

外資規制 - Wikipedia

個別の業法の中で、外資に対する出資規制が設けられている例もある。

NTT法 - NTTの持株会社である日本電信電話の議決権の5分の1以上を外国人が保有する事を禁止(間接出資も含む)。外国人が日本電信電話と地域会社の東日本電信電話西日本電信電話の役員に就くことも禁止。
電波法 - 外国人、外国人が代表を務める法人、外国人が役員の3分の1以上を占める法人、外国人が議決権の3分の1以上を占める法人には無線局免許を与えない。
放送法 - 放送#放送局の外資規制の項を参照のこと
航空法 - 外国人、外国人が代表を務める法人、外国人が役員の3分の1以上を占める法人、外国人が議決権の3分の1以上を占める法人に該当する者が所有する航空機は、登録することができない。

 つまり、特定の産業については資本規制が入っており、他の産業に比べて外国からの投資資金が入りにくいのではないか、ということです。たまに、大株主の情報などをあさっていると、経済産業大臣が主要株主となっている企業が確かにあります。これはインフラ産業として安定した経営を運営するために行われているようです。

  • インフラ産業がIFRS適用するメリット

 そういうわけで、株式市場からの資金調達が完全に制限されているわけではないんですが、インフラ産業がIFRS適用するメリットは何なのか?と疑問に思っているわけです。この辺りの回答例は具体的な事例にあたるしかないですね。少し調べてみることにします。