割安で優秀なスリランカの会計士は日本の脅威になりうるか。

 先日、クーリエジャポン3月号にスリランカの会計士の記事が載っていたのを見ました。どうやらNYTimesにある記事が元ネタのようです。

Sri Lankan Accountants Lure Global Outsourcers

  • 人口における比率

 スリランカの会計士の人口に占める割合が比較的多い。人口2,000万人に対して公認会計士が1万人。米国の公認会計士は全米で30数万人いるが、人口も314,659千人圧倒的に多い。そして、日本の公認会計士の数は約2万人であり、日本の人口は127百万人。

 人口に占める割合は以下のとおりになる。(超概算)

スリランカ 0.05%
アメリカ  0.09%(会員数を30万人と仮定)
日本  0.01%

 どうやら記事にも書いていますが、スリランカではかなりメジャーな職業のようです。

  • 賃金と言語

国労働統計局によると、2008年5月会計士及び監査役の平均年間賃金が5万9千ドル。一方スリランカでは2010年の調査によると平均年棒は5千9百ドル。インドの賃金より約1/3安く・より簡単に優秀な人材を雇用できる。

 かなり割安ですね。スリランカシンハラ語タミル語が国語にして公用語ですが、会計士であれば英語が出来る人も少ないなのではないでしょうか。それを裏付ける証拠というわけでもないのですが、日本の公認会計士協会にあたる。ICASLなる英語で記述されたHPを見つけました。

 上記のICASLのページの中にAccounting Standardのページがあったので、覗いてみたのですがローカルGAAPのようで、ここ数年改訂されていないようです。多くの国がIFRS導入を考えているので、いまさらローカルGAAPの整備は必要ないのかもしれません。ただ、Audit Standardもちょっと古い感じがしたので、こちらは少し改訂が必要かもしれません。

  • まとめ

 現状、日本がJGAAPで財務諸表を作成している以上、日本の会計士市場にスリランカの会計士の人が参入してくる可能性はかなり低いと思っていますが、それでも数年後のIFRS導入を考えると脅威です。なぜなら、彼らは、ドメスティックな自国の企業結合ではなく、欧米の外資系企業に従事しており、既に欧州などではIFRSが適用され、彼らは今後数年間でその経験の蓄積されるからです。

 世界的な市場で会計士が仕事をするにあたっては、相手は欧米だけではないということを強く認識する次第です。